|自分史・家族史

故人史は、悲しみの奥にあるありがとうを残す物語です

ペイフォワードの志茂村です。

大切な人を思い出す時、胸の中にはいろいろな感情が混ざります。

寂しさがあります。会いたい気持ちがあります。もっと話しておけばよかったという思いもあります。

けれど、その奥には必ず、ありがとうがあります。

一緒に過ごした時間へのありがとう。何気なくかけてくれた言葉へのありがとう。家族を支えてくれたことへのありがとう。生き方そのものから教えてもらったことへのありがとう。

故人史は、そのありがとうを丁寧に残すための物語です。

悲しみを消すことはできません。無理に明るくする必要もありません。大切な人を失った寂しさは、その人を大切に思っていた証でもあります。

ただ、悲しみだけで終わらせないことはできます。

その人がどんなふうに生きたのか。何を大事にしていたのか。周りの人にどんな温もりを残したのか。そうしたことを物語として見つめ直すと、家族の中に新しい受け取り方が生まれます。

小さなお孫さんにとっては、故人の記憶は写真の中の人かもしれません。

でも、物語になれば少し違います。どんな声で笑った人なのか。どんな仕事をしていたのか。どんな優しさを持っていたのか。家族のルーツとして、少しずつ受け取ることができます。

人はいつか旅立ちます。

それでも、受け取った愛情は残せます。言えなかったありがとうも、形にすれば未来へ渡せます。

故人史は、過去への執着ではありません。

大切な人から受け取ったものを、次の世代へそっと手渡す営みです。家族がその人を思い出すたびに、悲しみだけでなく温もりも一緒に戻ってくる。

そんな物語を、丁寧に残していきたいと思っています。